TALK SESSION

子どもに合わせた教育?保育を「自分で考える」力を伸ばす。

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PROFILE

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吾田 富士子 教授

専門分野は保育学、医療保育。「保育原理」「教師?保育者論」などの科目を担当。幼稚園?中学?高等学校?特別支援学校教諭などの免許も持つ。ラクロス部顧問。

子ども教育学科 3年 O.Rさん(北海道千歳高等学校 出身)

幼稚園教諭、保育士、特別支援学校教諭の3つの免許?資格の取得が目標。大学から始めたラクロス部でディフェンスとして活躍。

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個性を引き出す保育者を目指せる環境。

Oさん 人見知りだった私に優しく寄り添ってくれた幼稚園の先生の存在が、保育の道を志すきっかけになりました。進学先に藤を選んだのは、出身園の先生に藤を卒業された方が多かったのと、その園もキリスト教系で、保育観が私に合っているように感じたのが主な理由です。

吾田先生 子どもと接する時に一番大事なのは、言葉ではうまく表現できない心の中を表情やしぐさから洞察することで、Oさんにはそういうものを探し出そうとする視点があるなと感じていました。それは、出身園の影響もあるのでしょうね。保育を学ぶ学生には子どもたちを引っ張っていくタイプもいますが、Oさんはどちらかというと、子どもに寄り添いながら支えていくタイプですよね。

Oさん そうだと思います。私の出身園の先生もそういう接し方をしてくれたことが、すごく嬉しくて印象に残っていますね。保育実習の時にも、まず子どもたちの気持ちを理解しようと考えました。例えば「イヤイヤ期」でこちらの言うことを拒否しがちな子どもには、何が嫌なのか、どうすればやってくれるのかを考えて接する方が受け入れてもらえましたし、自主的にやる気になってくれると私も嬉しくなりました。

吾田先生 本学科の学びに加えて、自分の幼稚園時代の経験や思い出も今につながっているんですね。

Oさん はい。出身園が障害のある子どもを受け入れるインクルーシブ保育を行っていたことにも影響を受け、専門的に学んでみたいと思うようになりました。ですから、幼稚園教諭、保育士のほかに特別支援学校教諭を目指す学びが可能な点も、藤への進学の後押しになりました。

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理論と実践を融合した実習が成長につながる。

Oさん 保育の勉強を始めてみると、実践的な学びがとても多いことに驚きました。例えば、屋外に出て落ち葉を拾って作品にしたり、キャンパス内を使ってスタンプラリーを企画したり。そうした時に、子どもたちの指導における「ねらい」に沿って内容を考えるだけではなく、子どもの立場になって実際に活動してみることで、こういうことを取り入れるともっと楽しいかなと考えを広げられました。

吾田先生 花川キャンパスの周りは、自然がいっぱいですからね。鳥の声が聞こえたり、リスを見かけたりもします。

Oさん そういう環境だから、自分たちですぐに動いてみることができて楽しいです。活動してみることで新たな発見があり、その後のグループワークでアイデアを話し合うきっかけにもなります。実践的な学びに取り組むと、座学で学んだこととつながっていることも実感します。教科書に書かれていると堅苦しく感じるような内容でも、実際の動きや活動とつながると、こういうことがねらいなんだと気づいて納得できます。

吾田先生 そうした授業を組み合わせながら、本学科では自分で考える力、そのための手立てとしてどう情報を集めていくかという力をつけることを重視しています。そのため現場からは、本学の卒業生は時間をかけて深く理解し、必要な力を確実に伸ばしていけるという評価をいただくことが多いんですよ。

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Oさん 私も実習中は、子どもとの関わり方を自分でどんどん模索して、明日はこうしてみようと考えていきました。完璧ではないけれど、日々関わり方を学べていると感じられました。大学で学んできた知識がこういうふうにつながるんだと、深く理解できる場面が何度もありました。

吾田先生 実習は理論と実践の融合の場です。事前に理論を学んで実習に臨み、現実に触れながら実践を続けると理論の大切さを実感するようになり、もっと深く学びたいと思うようになります。理論と実践を行き来しながら、らせん階段を上るように確実に成長していくことができます。
 

進路は多様。それぞれの場で自分を輝かせて。

吾田先生 ルソーは著書『エミール』で「私が教えたいことは生きること」と書いていますが、私がこの学科で伝えたいのもそこに尽きるかなと思います。戦争や災害の発生、威廉希尔中文网站の流行など、いつ何が起きてもおかしくないことを私たちは経験しました。その中でも、信じられる仲間と支え合い、自分らしく生きるということを、ゼミや部活動などを含めた大学生活を通して学んでくれたらと思います。そして卒業後は、それぞれの活躍の場で自分を輝かせてほしいと願っています。

Oさん 私は自分の幼稚園時代の先生のように、あの先生は優しかったなとか、あの時は楽しかったなと、いつまでも子どもたちの心に残るような存在=保育者になりたいと思っています。藤は色々な免許?資格が取れるカリキュラムが示すように、興味のある関連科目を幅広く履修できますし、様々な道を目指す仲間が身近にいるのは刺激になります。

吾田先生 多様な科目を履修して、自分の進路を考えられるのは魅力的だと思いますね。ところで、私はラクロス部の顧問でもありますが、Oさんが3年生になってからラクロス協会の北海道地区の委員になって、今までと違う頼もしい面が出てきたなと感じています。何かきっかけがあったのですか? 

Oさん 先輩がやってみないかと声をかけてくださって、勇気を持って踏み出しました。ラクロスのプレーはもちろん、大学でこれを頑張ったと言える何かを残したいと思ったんです。社会人や他大学の学生が集まる場に最初は緊張しましたが、優しく助けてくれる方ばかりです。以前は失敗するのが怖くてできれば安全なところで頑張りたいと思っていましたが、大学で新たに色々なことを始めて、やってみて失敗したら仕方がないし、周りを頼っていいんだということもわかって積極的になれました。そういう今の自分が結構好きです(笑)。

吾田先生 人に頼れない人は、頼られる存在にはなれないと私は思っています。私たちは一人で生きているようにみえて、みんなに支えられ、感謝しながら生きています。Oさんはしっかり成長していますね。そういう姿勢も子どもたちに伝えられるようになってほしいと思います。

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(学年、掲載内容等は2024年取材当時)


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