PROFILE
小山 清文 教授
専門分野は日本文学(平安文学、物語?日記文学)。「古典文学」「古典文学演習」などの科目を担当。
日本語?日本文学科 3年 H.Yさん(北海道釧路江南高等学校 出身)
日本語?日本文学専修を選択。小山ゼミに所属。目標は中学校の国語教員。大学祭実行委員や藤スチューデント?アシスタントなども経験した。
Hさん 中学校の授業で古典に触れた時に、私は面白いと思ったのですが、文法などを覚えることに苦手意識を持つ友達を見かけました。そもそも国語の教員になりたいという夢を持っていた私は、古典の楽しさを伝えられる教員になれないものかと考えるように。藤なら教職課程を履修しながら古典の分野にも専門的に取り組めると知って志望しました。
小山先生 本学科にも高校までの文法学習で古典に苦手意識を持つ学生がいるので、私の授業では文法のことはあまり厳しく言わず、なるべく内容重視、面白いネタを用意して提供するように心がけています。従来の古典の授業イコール文法というイメージを取っ払って、もう少し前向きになってもらうよう意識しています。
Hさん 1年次には文法を学べる入門科目があるので、改めてそこを勉強することもできますよね。
小山先生 基礎から学び直したいと考える学生のために、そうした機会を提供しています。古文は現代語訳からでは読み取れないところもあるので、文法を理解しておくとその後の学びが違ってきます。Hさんは現代語訳ではない古文と格闘して、少しでも触れよう、感じ取ろうとしていますよね。
Hさん でも、頭になかなか入ってこなくて、何度も読み直したりしています。ただ、古文を読むことで、この単語のニュアンスが現代訳語に反映されていないなとか、気づけることがあります。単語の意味をどう取るかで物語の解釈や物語に対する意見も変わってきますから、ゼミで活発に議論し、色々な意見が聞けるのは面白いです。ゼミが終わって友達と教室を移動する時、「さっきのところだけど」「あの意見は違うんじゃない?」と話し込むこともよくあります。私は高校まで少し頑固なところがありました。それは一つの意見を貫き通す力、つまり長所なのだと自分では捉えていましたが、大学生になって変わりました。ほかの意見についてもよく考えてみて、そちらの方が私の意見より見方が広がっていくなら面白いと受け入れられるようになりました。
小山先生 頑固プラス柔軟性。良いですね。
Hさん この学科の特徴だと思うのは、多様なジャンルの科目が用意されていることです。私は「日本語?日本文学専修」で学びながら、「日本文化専修」に設定されている映画に関する科目なども履修しています。自由度の高いカリキュラムが魅力的です。好奇心を持って、ここでなければ触れることがなかった分野を学んでみると、興味や関心が広がっていく実感があります。専門の古典文学に直接的に応用するものではなくても、日常の中で多角的に捉えたり、考え方のヒントにしたりできるようになりました。
小山先生 そもそも文学というのは何をやらなければいけないというより、興味を持った色々なものを履修してもらう必要があるので、科目の選択はどの学年も比較的緩やかにしています。一方で、それぞれの専門分野を絞り込んでいけるカリキュラムを組み立てています。本学科には古代から現代までの「日本語」「日本文学」「日本文化」の専門教員がそろっていることも、ほかの大学にはない特徴です。
Hさん 多様な専門分野の先生の講義を1年次にたくさん受けられるので、選択する専修を決めるのにも役立ちます。自分の興味を追究できるゼミも楽しいです。
小山先生 ゼミは学生が主になって発表し、それに対して学生同士が色々やり取りすることをメインに考えています。
Hさん どうしたら自分の意見をうまく伝えられるかなどを考え、資料を作り、発表の際もよりわかりやすくなるよう試行錯誤しています。ゼミを通して、色々な力がついてきたと感じます。例えば、人にどう伝えるか、表現の仕方を深く考える意識が芽生えました。塾講師のアルバイトをしているので、生徒によって言葉を選んだり、話す順序や構成を変えたり、色々な面から伝え方を考えるようにしています。
Hさん 卒業論文の題材は、『源氏物語』に決めました。平安文学と向き合ってみて、時代背景などを調べる大変さはありますが、自分たちの国がどういう文化で成り立ち、今にどのようにつながってきたかを見ていくのが楽しいです。例えば、自然を美しいと思う感性は現代も一緒だと思いますし、根本として変わっていないようなところを自分に置き換えて読む面白さがあります。『源氏物語』の作者は登場人物によって使う言葉を変えていて、言葉の表現の豊富さにも感じ入っています。私も教員になったら、相手に合わせて言葉を選んで正しく使えるようになりたいです。
小山先生 古典を通して、多くのことを学べます。『源氏物語』の場合は、作者が言葉について非常に敏感なところがあるので、題材に選んだのは良かったと思います。
Hさん 卒業論文ついては、ゼミで先輩たちが周りの受講生から意見をもらっているのを見てきました。完成まで不安はありますが、ほかの意見も取り入れながら自分の論を強めていく作業ができるのは楽しみです。
小山先生 特に『源氏物語』は多くの学生が扱うので、各学生がやっている専門的な観点から意見やアドバイスが聞けます。自分が研究している作品について真面目なやり取りができるのは、恵まれているかもしれないですね。卒業論文は4年間の学びの柱です。15,000字以上もの論文を書く作業を通して、読む?考える?表現する力がつくのが、古典に限らず本学科の一番の強みかと思います。
Hさん 私は、卒業論文を含め在学中にできるだけ見聞を広げておきたいと思っています。それが全て、教員になった時に生徒たちにどういう学びを提供できるかにつながると思うんです。もう一つの目標は、自分の中で古典を学ぶ意味をまだ明確にはできていないので、生徒に伝えられるような答えを卒業時には持っていたいです。
小山先生 素晴らしいですね。この学科で学ぶのは、書かれているものをじっくり読み込んで、考えて、それをわかりやすく表現するということです。誰もが日常的に行っていることですが、それを徹底的にやることで、生きていく上での基本的な力を身につけられるはずです。
(学年、掲載内容等は2024年取材当時)
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